2021 大学入学共通テスト 英語リスニング 1次日程 第5問
今回は第5問について解説していきます。
流される音声は1回のみとなり、また3分近くのボリュームとなるため、事前の問題分析がなにより重要となります。
リーディングと違って、本文を読み直すといった確認作業ができないために、リーディングよりも難易度が高い印象は受けると思いますが、リスニングの問題自体はやさしい構成になっていて、事前の問題分析からおおよその内容は予測可能なものに限られています。
「解く」ために「聴く」
この姿勢を崩すことなく、解くための準備を整えておきましょう!
問27出題意図→何を促進するための調査か?
問題文の「状況」説明から、幸福論についての講義だということがわかるので、幸福のために何が必要なのかがテーマだろうと予測できます。
選択肢を大別して、sustaibaleな「環境」、sustainableな「経済」のどちらであるかをチェックしておきます。
さらに、幸福論がテーマということを踏まえれば、いわゆる環境問題と関連することは少なく、金銭的な問題、つまり「経済」と関係するであろうということまで予測可能です。なにより、ワークシート内には「Hygge lifestyle in Denmark」とあり、ライフスタイルの話題があるということからも経済と関わりがありそうだとわかります。
問28~31出題意図→ワークシートの完成
幸福論がテーマであることと、経済との関わりということを読み取っておくと、この問28~31の空所の意図することがわかります。
[ 28 ] [ 29 ] は「What」に対応していて
➀ goods ② relationship ③ tasks
物、人間関係、仕事のいずれか
[ 30 ] [ 31 ]は「Where」に対応し
➀ everywhere ② indoors ③ outdoors
あらゆるところに、内に、外にのいずれか
これらを、幸福度の高い国デンマークでは経済との関連でどのようにとらえているのか、また、世間的にはどのようにイメージしているのかを分類することが求められています。
問32出題意図→内容一致
内容一致問題では、選択肢の分析が成否を決定します。
また、正解となる選択肢の特徴は
本文のテーマに関わる選択肢
であることも知っておきましょう。
リーディング問題についても同じことが当てはまりますが、内容一致問題というのは細かい部分を真偽判定する力が必要なのではなく、本文の主旨が読み取れているかを測るためのものです。
細部に関わる選択肢ではなく、テーマに関わる選択肢に目を向けるようにすると、聞き取るべき所に集中できるようになります。
問32では「デンマークの人々は…」という主語は共通しており
➀ 高い税金に反対
② お金を人付き合いに使う
③ 収入は多い
④ 福祉制度によって…できる
以上が、与えられた情報からの分析となります。
スクリプト 黄色でマーキングした部分が特に聞き取るべき表現
What is happiness? Can we be happy and promote sustainable development? Since 2012, the World Happiness Report has been issued by a United Nations organization to develop new approaches to economic sustainability for the sake of happiness and well-being. The reports show that Scandinavian countries are consistently ranked as the happiest societies on earth. But what makes them so happy? In Denmark, for example, leisure time is often spent with others. That kind of environment makes Danish people happy thanks to a tradition called “hygge,” spelled H-Y-G-G-E. Hygge means coziness or comfort and describes the feeling of being loved.
This word became well-known worldwide in 2016 as an interpretation of mindfulness or wellness. Now, hygge is at risk of being commercialized. But hygge is not about the material things we see in popular images like candlelit rooms and cozy bedrooms with hand-knit blankets. Real hygge happens anywhere in public or in private, indoors or outdoors, with or without candles. The main point of hygge is to live a life connected with loved ones while making ordinary essential tasks meaningful and joyful.
Perhaps Danish people are better at appreciating the small, “hygge” things in life because they have no worries about basic necessities. Danish people willingly pay from 30 to 50 percent of their income in tax. These high taxes pay for a good welfare system that provides free healthcare and education. Once basic needs are met, more money doesn’t guarantee more happiness. While money and material goods seem to be highly valued in some countries like the US, people in Denmark place more value on socializing. Nevertheless, Denmark has above-average productivity according to the OECD.
解答
問27 ②
問28 ➀ 問29 ② 問30 ⑤ 問31 ④
問32 ④
問33出題意図→内容一致 &グラフの読み取り
問題のリード文中下線部「下の図から読み取れる情報と講義全体の内容から」という部分について、講義全体の内容というのは、主旨の把握を意味しており、それと関連するグラフからわかることを選択肢から選ぶ問題となっています。
また、グラフから読み取れる情報も、細部に関わるものではなく、
顕著に読み取れる情報
に目を向けることが大切です。
問33では、デンマークのグラフの「overtime work」が、他の2つに比べて少ないことが顕著です。
選択肢➀がこの内容を述べており、確認のために聞くという流れで正解に至ります。
スクリプト 黄色でマーキングした部分が特に聞き取るべき表現
Here’s a graph based on OECD data. People in Denmark value private life over work, but it doesn’t mean they produce less. The OECD found that beyond a certain number of hours, working more overtime led to lower productivity. What do you think?
解答 問33 ➀
まとめ
第5問は、問27は3点、問28・29は完答で2点、問30・31は完答で2点、問33は4点、合計15点。
解答の根拠となる、聞こえるはずの部分を聞き逃さないようにするためには、事前の情報分析がなにより必要です。
特に、テーマ・主旨を把握し、それに基づいた情報分析をすることがこの第5問では有効だと思います。
リスニング音声を聞いてから主旨を理解しようとするのではなく、問題文に与えられた情報から事前に情報を整理しておくことが成功への鍵となります。
「解く」ために「聴く」という姿勢を保ち訓練してもらえればと思います。
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